【令和に生きる証券営業マン向け】証券リテール営業が今後を生き抜く為に必要な事項【”三方良し”では足りません】

営業

こんにちは。野村證券リテール営業に8年従事していた管理人です。

証券営業に限らず、金融営業という職種が大転換期を迎えています。

個人的にはゼロになるとは思いませんが、現状より大幅に人員が減っていく職種かと思います。

この道で生き残るには勝ち抜くしかありません。

辞めた身で恐縮ですが、お役に立てる事もあろうかと思い語らせて頂きます。

証券営業マンだけではなく、彼らが置かれている立場を知るという意味で、対面証券会社を利用している投資家の方にも見て頂きたい記事です。

証券営業は顧客の期待と会社の期待、両方にこたえる必要あり

文字にすると当たり前の事ですが、年々重要になってきております。

昔は会社の期待しか見えていない営業マンがたくさんいました。

しかしながら

・年々世に浸透するコンプライアンス意識
・ネットの発達により誰でも気軽に世界中の投資情報がいつでも確かめられる
・ネット証券の台頭による手数料引き下げ競争
・SNSの発達による悪評の拡がるスピード上昇

今や顧客の期待を無視して証券営業を営む事は不可能です。

そして両者は対立します。

会社の期待・・・収益を稼いでください。
顧客の期待・・・儲けさせてください。

ちなみに好相場では両者は合致します。好相場時の証券マンはとても楽な仕事です。
しかしいつまでも好相場は続きません。
良くても悪くても、どんな時でも、どっちもやらなきゃいけないのが営業の辛い所です。

会社の期待は変わりつつある

昔は金融商品売買から得られる手数料収入が全てでした。

しかし、令和では信託報酬を稼ぐ事が求められます。

運用管理費用とも呼ばれる収入で、主に投資信託やラップ口座を保有しているお客様から年率○○%という手数料を永続的に頂く形態です。

したがって株式売買で手数料を稼ぐ、いわゆるブローカレッジは求められていません。

この影響か、近年株を語れない若手社員が増加しているという話はよく聞きます。

そのことに対して会社は危機感を抱いているとも聞きますが、私から言わせれば当たり前です。

だって株を語れても、会社も顧客も評価してくれないのですから。

株式売買を求められない以上、株を語れなくても問題ないかと思います。

株式売買ばかり取り組んできた身としては悲しいですが、時代がそうなっているのですから仕方ありません。

一方で、顧客の期待は変わらない

令和の時代でも顧客の期待は変わりません。

儲けさせてくれる証券会社、担当者が選ばれます。

しかしながら投資は水物、自己責任。おまけに元本保証もありません。

手数料引き下げ競争により顧客が負担する費用を軽減する事で、付加価値を高めようとする会社が多い理由に繋がります。

簡単に手数料引き下げが出来ない対面証券会社にとっては痛い所です。

信託報酬を稼ぐには、新規顧客獲得

昔の証券営業では、リスクに積極的な資産家を一人お客様にすればほぼ安泰でした。

しかし、令和の信託報酬を稼ぐ営業では、リスクに積極的な資産家を延々と顧客化する事が求められます。

営業が好きな人間は2種類に分かれると思っています。

営業成績をあげて、自分が称賛される事が好きな営業マン

日々大好きなお客様と話し合い、お客様の喜びが自分にとっての喜びである営業マン

営業が嫌いな人は当然ながら、前者の自分大好き営業マン令和の時代は生き辛くなると思います。

自分は、お客様の喜びを自分の喜びとする事が出来るか

今、証券営業をしている人は一度考えてみて下さい。

顧客は目の前だけではない。間接的顧客、有価証券発行企業

しかしながら証券会社には新規公開株式や公募株式というイベントが定期的に現れます。

これは資金調達の為に企業が株式を発行する事です。

この記事を書いている2020年9月だとソフトバンク(9434)がタイムリーでしょうか。

これは公募売出なので株式の希薄化効果が発生しません。それだけでも販売側の証券会社は相当扱いやすいでしょう。

一般的なセールストークだと、

「2020年10月1日から日経平均株価に採用される為機関投資家の買いが期待出来る」
「自己株式取得がある事からソフトバンク自身が強気に考えている」
「配当利回りが高水準である」
「目先9月配当権利付最終日まで保有して中間配当を貰う」

といったところでしょうか。

上記のように扱いやすい公募イベントですが、今回のソフトバンク公募売出に対して積極的に取り組んでいる証券リテール営業マンはどれくらいいらっしゃるでしょうか。あまり多くないのではと想像しています。

「会社の期待は変わりつつある」でも書きましたが、若手社員に対して株式売買営業をさせず、社員が株式市場のダイナミズムを語る事が出来なくなっているからです。

若手リテール営業マンからすると、「普段はお客様に合わせたコンサルティング営業を、と言っているのに急に商品ノルマが降ってくるなんて!」という気持ちがあるでしょう。
考えてみると若手社員にとっては酷な話です。

しかし、これは「ソフトバンク」という「顧客」から見るとコンサルティング営業なのです

主幹事証券会社の各エクイティファイナンス部で決めた案件です。

リテール営業部署が取得した案件ではないですが、会社としての案件です。

営業マンというのはこういった「会社」と「間接的顧客」の要望を満たすために、「目の前の顧客」に対して規定数を「販売しきる底力」が求められます

閑話休題:証券業界で野村が凄いと言われている理由

今回のソフトバンク(9434)も中々のビッグイベントですが、近年のビッグイベントだと日本郵政グループ3社株式の新規公開や公募売出も超ビッグイベントでした。

日本郵政の頃は、私も野村證券リテール営業マンとして、支店の株式担当として、それはそれは販売しまくってました。

当時は、社内の全国会議や社外金融機関との会議に参加する機会がそれなりにありました。

ゴールドマンサックスをはじめとする金融業界で働く方なら誰でも知っている外資金融各社と話していて全員が口を揃えて言っていた言葉があります。

野村證券はリテールの販売力が凄い。ここだけは勝てる気がしない。

逆を返せばリテール営業以外は勝てると言われているようで当時はイラっとしました。笑

しかしそのリテールの販売力も今はどうなんでしょうか。

少なくとも2020年9月のソフトバンク(9434)の公募売出については条件も悪くないですし、相場環境も絶望的というわけでもないので会社としてはやり切るでしょう。

普段会社で寝てるような35歳以上のロートル営業マンも、いよいよとなれば一気に販売しきると思います。

ソフトバンク公募売出で苦しんでいる営業マンへ

証券リテール営業とはこういう仕事です。

結果が出ず苦しい、けど頑張りたい!という方。頑張って下さい!

私の大切な顧客に、自分が強気になれない銘柄を販売したくない…と考えている方、証券リテール営業を継続する事は難しいかもしれません。一度ご自身のキャリアプランを真剣に検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ:会社・目の前の顧客・間接的顧客・変動相場、四方を見る必要があるから難しい。しかし幸いながらAIはまだ四方全ては見ていない。

タイトルにまとめました。

AIに奪われる~なんてのは気にしなくて良いです。

何故なら現状でAIには間接的顧客対応が出来ないからです。出来ない理由は目の前の顧客のニーズに反する金融商品売買の提案が仕組み上想定されていないからです。

冒頭で営業マンの全体数は激減するが一定数は残ると書きました。
残る営業マンとは四方を見る事が出来る営業マンです

一般的な仕事では二方で十分です。会社と目の前の顧客です。そこに自分を入れて「三方良し」という言葉があるくらいですから。

しかしこれからを生き抜く証券リテール営業マンには四方に自分を入れて「五方良し」でなければ生き残れません

生き抜く覚悟は出来ましたか?

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