こんにちは。野村證券でリテール営業に8年従事していた管理人です。
2020年の新規顧客開拓営業では、完全な飛込営業という手法は激減しています。
ですが、少ないながらも完全新規飛込営業を求められる業種・会社もまだまだ存在しています。
加えて、やはり営業マンたるもの完全新規飛込営業で顧客を獲得できるとできないとでは雲泥の差です。
令和の時代だからこそ、本物の新規顧客獲得営業手法を身に付けられるようシリーズで記事を書いていきます。
まずは「顧客になって頂きたい対象先が特に決まっていない」ケースから始めます。
私の野村證券時代、最優先営業先はマンション法人
「特に顧客になって頂きたい先が決まっていない」ケースでは目に映る全てが営業対象先となります。
その状況で、私ならまずは「マンション法人」を最優先で営業します。
マンション法人という単語は存在せず、私の勝手な定義であり内容は以下の通りです。
マンション法人とはマンションやアパートの1室を社屋としている法人の事です。
士業の事務所だったり、診療所だったり、法人格を持たない個人事業だったりもします。
営業マンなら1度は必ず目にした事があると思います。
少なくとも証券営業・金融商品営業に於いて、マンション法人が最も相性が良いと思っています。
私の経験では、売上50億円超の老舗マンション法人の社長さんから初取引で5,000万円分の株式を買付頂いたのが一番大きなマンション法人営業成果でした。
マンション法人のメリット
何故私がマンション法人へ行くのか。
マンション法人の特徴を営業マン目線のメリット・デメリットの面から記載します。
メリット
・敷地内に入れる可能性が最も高い
・営業される事に慣れている。
・連絡先=社長の携帯電話である事が多い
・社屋にいる人はほぼキーマンである可能性が高い
・社長が元会社員→独立という経歴であるケースが非常に多く、営業マンの立場を理解してくれる人が多い
・他社の社長と公私ともに会う事が多いため、興味の幅が広い事が多く、営業マン最大の武器である雑談ネタが幅広く通用する。
・投資に興味がある事が多い。
・個人的な投資運用に興味がなくとも、本業の話で金融機関トークが出来る。
・親密度が増して紹介を頂けるとき、様々な社長さんを紹介してもらえる可能性が高い。
敷地内に入れる可能性が最も高い
営業経験のある方からしたら当然ですが、訪問した先の人物と会わない事には何も始まりません。

こんにちは!営業です!

いらっしゃい!待ってたよー、ささ中へどうぞ!
新規飛込営業でこんな展開はありえません。
100件中99件は「必要ないので帰って下さい」「結構です」となります。
つまり、飛込営業で最も難しいのはこの第1段階目の「人と会う」事です。
私の経験上、マンション法人は様々な主体の中で最も「会いやすい」です。
行けば分かりますが不在でない限り、入り口は開いています。
最も難しい「人と会う」をクリア出来る可能性が高いです。
営業される事に慣れている
誰でも入れるがゆえに、あなた以外にも様々な営業マンが飛び込みでやってきています。
基本的に飛込営業は受ける側にとって面倒な事がほとんどですが、中には役立つ情報が入手できるケースもある事をマンション法人のトップはよく知っています。
それゆえ、第2段階目の「話を聞いてくれる」可能性が高いです。
連絡先=社長の携帯電話である事が多い
何気にこれは超重要です。
証券営業で主に取り扱う株式、投資信託は時間が非常に重要です。
株式は説明するまでもないですが、投資信託も当日何時までの注文で当日受付か翌営業日受付かが変わります。ひいては受渡日にも影響を及ぼし、お客様の○○日までに現金化したいといった要望や、営業マンの今日、今週、今月のノルマが達成できるかどうかにも影響を及ぼします。
取引を実施して頂ける程度に親密になった段階では携帯電話番号を聞くことは当然です。
しかし、その前段階でも訪問前に電話する等といった時に携帯電話番号があった方が効率が良いです。
これが一般的な法人や個人宅だと、何とか入手できた連絡先が固定電話番号だったというケースが多いです。
固定番号を教えて頂けるだけでも十分にありがたいですが、やはり携帯電話番号の方が勝ります。
人間の心理上、初見で仲良くなったわけでもない人物に自分の携帯電話番号を教えるのは抵抗がありますからね。
しかし、マンション法人は創世期である事が多く、また老舗であっても少人数運営である事から、連絡先は代表者の携帯電話番号のみというケースが非常に多いです。
社屋にいる人はほぼキーマンである可能性が高い
一人法人なら会える時は当然社長に会えます。
そうでなくても基本は少人数なので社長が不在でも、社長の配偶者がいらっしゃったり、事務員さんに見えて会社の財務担当者であるケースが多く、会えたのに無駄だったというケースが非常に少ないです。
営業効率面ではとてもありがたいことです。
社長が元会社員→独立という経歴であるケースが非常に多く、営業マンの立場を理解してくれる人が多い
マンション法人はいわゆる脱サラ社長である事が多いです。
自社ビル・賃貸ビル・その他戸建が社屋となっている会社も脱サラ社長であるケースが多いですが、そちらの場合は商店から発展パターンや世襲社長であるケースも多く、その場合は肩書は同じ社長でも性格や趣味嗜好や考え方は全然違います。
脱サラ社長は当然元サラリーマンであり、営業経験者である事が多いです。
親交度が深くなり、こちらに情をかけて頂けるタイミングになった時、こちらに忖度して頂ける事が多いです。
勿論、営業マンとしてお客様からの忖度を期待してはいけません。
とはいえお客様の忖度に救われるケースも多々発生します。
そうした時にマンション法人の社長は助けて下さるケースが多いです。
他社の社長と公私ともに会う事が多いため、興味の幅が広い事が多く、営業マン最大の武器である雑談ネタが幅広く通用する。
現在、営業マンの皆様の大半は駆け出し頃上司から
「営業マンは雑談が命」と教えられた経験があるでしょう。
AIが発展している現代、間違いなく人間の強みの一つは雑談力です。
しかしその雑談も「話を聞いてもらえる」という第2段階目までたどり着けないと意味がないです。
更に悲しいことに、「話を聞いてもらえる」程度の関係性では、雑談が進みません。
相手からのレスポンスがなければ雑談は展開できません。
レスポンスだけではなく、雑談のテーマが相手の興味にささらなければ弾みません。
その点、社長は一般的には見識が広いことが多く、雑談が発展しやすいです。
投資に興味がある事が多い。
公私ともに社長とお付き合いをする社長さんは見識が広い事が多いのは先述の通りです。
そして社長の嗜みとも言える程投資に興味がある人が非常に多いです。
営業の基本中の基本で、「商材に興味を持っている」方の元へ訪問する事が効率を上げるために重要です。
その興味を持っている可能性が高いというわけですね。
最初は飛込の営業マンだから無下に対応していたけど、仲良くなった後に実は投資に興味があって色々教えてほしいと言われる展開は私自身数えきれないほど経験してきました。
個人的な投資運用に興味がなくとも、本業の話で金融機関トークが出来る。
社長といえど、中には本当に投資に興味がない人もいらっしゃいます。
しかしながら、外貨と一切縁がない社長は少ないです。
直接取り扱っていなくとも、社長の取引先が外貨と関係しているパターンは非常に多いです。
金融機関ならまず間違いなく定期的な外部向け自社為替レポートを発行しています。
そうしたレポートを定期的に届けるという口実で繋がりを持つ提案も出来ます。
これは銀行の得意分野だと思いますが、自社で外貨を扱っている場合は為替予約の提案です。
自分の営業経験と監査経験から、外貨を扱っていて為替予約を一切した事がない法人は存在しません。
(何らかの理由で「今は実施していない」事はありえます)
銀行の営業マンの方はここで他より優位に立てます。
親密度が増して紹介を頂けるとき、様々な社長さんを紹介してもらえる可能性が高い。
マンション法人の社長に見込客を紹介してもらえるようになった時、大体が同じく社長である事が多いです。
一般的に、サラリーマンより社長さんの方が余剰資金は多いです。
つまり今後の営業ノルマの達成可能性を考えたときに、多くの社長さんに顧客となって頂く事が重要です。
マンション法人のデメリット
見てきた通り、たくさんのメリットがあるマンション法人ですが、少ないながらデメリットもあります。
以下に記載します。
デメリット
・会社が創世期である事が多く、投資運用の話の時間はあまり貰えない事も多い。
・会社が創世記であり、本業に資金集中させるため、個人運用の金額が1,000万円以上の単位で任せて頂けないケースも多い。
・営業される事に慣れている為、他の営業マンに持っていかれるケースが多い。
会社が創世期である事が多く、投資運用の話の時間はあまり貰えない事も多い
仕方ないと言えば仕方ないことです。
というより、資産を持っている人は比例して忙しい事が多いので全てに当てはまる事項です。
あえてデメリットとしてひねり出した項目ですね。
会社が創世記であり、本業に資金集中させるため、個人運用の金額が1,000万円以上の単位で任せて頂けないケースも多い
これはマンション法人というより、創世記の社長全員に当てはまります。
こればかりはどうしようもないです。むしろ、投資運用のパフォーマンス向上を真剣に考え、社長の信頼を得ていきましょう。
いざというときに、普段の行いが反映されます。
営業される事に慣れている為、他の営業マンに持っていかれるケースが多い
マンション法人の一番のデメリットはこれでしょうか。
しかし私は他社の営業マンから何度も奪ってきました。
私からすると、「奪われるという事はそれだけ顧客を蔑ろに扱ってきた結果」だと思います。
そんな私ですが奪われた経験も何度かあります。
が、話を聞くと、IPO営業で奪われた顧客しかいません。
そしてこれを見ている若手証券営業マンにはお伝えしたいのですが、
絶対にIPO営業はしてはいけません。
別途記載しますが、色々理由がある中で一番の理由は、
営業マン自身の首を絞める事になります。
私の顧客を奪っていったIPO営業マンは、大体が若い営業マンでした。
IPO営業の恐ろしさについては別途記事にします。
まとめ:マンション法人に行き尽くしてから悩みましょう。
記載してきたように、証券・金融営業マンにとってマンション法人はとても相性がいいです。
迷っている時間があれば行って断られてから悩みましょう。
もちろんですが、営業禁止と明記されている先には行ってはいけません。
そんな営業は私の時代で終わりました。今はコンプライアンスの時代です。
私の経験では、売上50億円超の老舗マンション法人の社長さんから初取引で5,000万円分の株式を買付頂いたのが一番大きなマンション法人営業成果でした。
その3日後に転勤となってしまったのが残念です。
次回は第2位の事業法人について記載します。