こんにちは。野村證券でリテール営業に8年従事していた管理人です。
シリーズでお送りしている「私の新規飛込営業先」の4回目は、私が「特定の対象先が決まっていない場合」に行く営業先優先度第4位の事業法人です。
1位から3位の法人や個人商店と比較して母数が少ないので4位となっていますが、重要性は高く私自身は営業エリアのその他法人には全てアプローチしていました。
この記事ではメリット・デメリットを交えながら特徴を記載しています。
このページでのその他法人の定義
日本全国どこにでもある「○○クリニック」や「○○内科」等の小規模医療クリニックや、各地域の主要な区や市にある大規模な医療ビルが、営業先としてアプローチする「医療法人」と定義しています。
また、その他法人の定義はマンションの管理組合等の「みなし法人」や「独立行政法人、財団法人、社会福祉法人、学校法人」を対象としています。
医療法人とその他法人を分けて記載します。
医療法人のメリット
医療法人も、実質的な意思決定者が一人の法人と、理事会で意思決定を行う大規模医療法人に分かれます。
ではメリットの記載から。
メリット
・意思決定者が一人の法人は実質的にマンション法人と同様
・医療法人は利益認識の先送りニーズが高い
意思決定者が一人の法人は実質的にマンション法人と同様
記載の通りです。
マンション法人については以下の記事にメリット・デメリットを記載していますので是非お目通しください。
医療法人は利益認識の先送りニーズが高い
事業法人なら、当期の余剰利益に対して将来の為の引当金を設定する事で将来への備えと当期の費用認識の両方を達成できます。
しかし、医療法人では税務上賞与引当金を認識する事は出来ません。
小難しい話なのでざっくり言うと、定期保険や逓増定期保険のニーズが高いという事です。
警戒心が解け、相談をして頂ける関係性になれば、保険の相談を頂けることが多いです。
医療法人のデメリット
デメリットを記載します。
デメリット
・会える時間が限定されている事が多い
・忙しいゆえに、変動が激しい金融商品とは相性が悪い
・理事会ありの法人では、結局理事長に会えないと意味がない。資産運用をするケースは少ない
会える時間が限定されている事が多い
ここに関しては、法人のデメリットと同様です。
当たり前と言えば当たり前のデメリットです。
忙しいゆえに、変動が激しい金融商品とは相性が悪い
次の理由とも被りますが、忙しいからこそ儲けるための資産運用ニーズはあまりないケースが多いです。
医院の先生でも、週半ばに設定されている事が多い午前診療の日の午後くらいにしかがっつり面談出来るタイミングがありません。
基本的には変動の少ない債券や保険のニーズ、つまり一度お買い上げ頂いた後に追加で売買を頂けるケースは少ないです。
理事会ありの法人では、結局理事長に会えないと意味がない。資産運用をするケースは少ない
いわゆる大きな病院です、簡素な見分け方としては病床の有無によって規模感が変わります。
入院設備である病床があるような大きな病院ではほぼ必ず理事会が設置されています。
法人で言うと取締役会ですね。
ここまでの規模になってくると大きな事業法人と実質的には同義になります。
理事が提案を気に入ってくれても、理事長が気に入らなければ法人としての答えはNoになります。
逆に、理事長と話が進んでいても理事会で反対されて提案が通らなかった、というような事も日常茶飯事です。
この点も事業法人のデメリットと同様ですが念のために記載しています。
その他法人のメリット
メリット
・金額が大きい
・(マンションの管理組合への)金融機関のアプローチがこれからの時代に合っている
金額が大きい
金額の大きさだけで言えばその他法人が圧倒的1位ではないでしょうか。
私の知っているトップセールスと呼ばれる方々は必ずその他法人を顧客化しています。
おそらく事業法人や個人商店は当然で、プラスアルファでその他法人を顧客化出来る営業マンがトップセールスの位置に辿り着くと想定しています。
特に若手の営業マン程オススメです。早い時期に億単位の資金に触れる事で色々な意識が変化します。
(マンションの管理組合への)金融機関のアプローチがこれからの時代に合っている
これからの時代、現役世代の方々は今までに増してマンションに住むという選択肢を取るケースが増えます。
マンションに住むと必ず徴収される管理費や共益費
管理費や共益費という資金は余っています。
将来の有事の際への積み立てという名目ですから、当然に現時点では余るんですね。
多くは預金口座に入れておきますが、中にはその資金を少しでも増やすために安全性の高い国債にしている管理組合も数多くあります。
今後増加するマンションに、明確なニーズを提示するというスタイルは令和の営業にぴったりです。
その他法人のデメリット
デメリット
・性格上、預金・債券が中心となり売買はない
・法人によっては他金融機関との競りとなる
性格上、預金・債券が中心となり売買はない
第三者に対して資金状況の報告義務があるため、変動リスクの大きい資産運用は事実上出来ません。
したがって預金・債券が運用手段の中心となり、資金導入に期待が出来ます。
一方で、手数料収入は期待できません。
令和の金融営業としては、こういった法人で投資一任口座の導入が決まればベストでしょう。
しかしながら、これらのその他法人での投資一任口座導入は簡単ではありません。
法人によっては他金融機関との競りとなる
一昔前はこれらのその他法人で国債を買付頂くのが主流な営業でした。
地方の金融機関や、大手金融機関の地方支店ではまだまだ主流でしょう。
この場合、法人側が最も条件の良い(大体が金利条件です)提示をする金融機関を選定する事が多いです。
金利条件が良い国債を顧客に提示するとは…金融機関側の取分を削ります。
金融機としては手数料収入がマイナスになっても、法人の資金取込と繋がりを保持したいというわけです。
私は「手数料収入が絶対」の時代に教育を受けたので、マイナス手数料になってまで資金導入をする事に違和感を覚えます。
しかし、周囲では社内でも他社でもマイナス手数料で資金導入に取り組んでいる方々もいた事は事実です。
まとめ:営業で結果を残したい、上に行きたい、とにかく営業が好きという方は積極的に行きましょう。
1位のマンション法人、2位の事業法人、3位の個人商店
これらの対象先にしっかりと戦略立てて営業をする事で、ノルマに追われなくなる程度の成績は十分に獲得できます。
しかしながら、それよりももう一歩先に行きたい、周囲に差をつけたい、という営業の方はここで紹介した医療法人やその他法人にも積極的に行きましょう。
ちなみに私は野村證券時代、自分が新人の頃は積極的に行っていました。
が、新人指導担当(インストラクター)をやっていた時に、当時の教え子達にこの話をしましたが6人中誰も医療法人・その他法人に積極的には行っていませんでした。
それだけ難易度も高いです。
それでは次回の記事でお会いしましょう。