こんにちは、野村證券でリテール営業に8年従事していた管理人です。
シリーズでお送りしている私の営業先も、今回で第5位の紹介となりました。
飛込営業=個人宅、というイメージが強い方も多いのではないでしょうか。
しかしながら個人的には第5位で1年目以降はほとんど行かなくなりました。
とはいえメリットもありますので、記載していきます。
第5位という事で今回はデメリットから始めます。
個人宅のデメリット
早速デメリットからです。
デメリット
・直に会う難易度が最も高い
・警戒心が非常に高い
・会えたとしても玄関先や庭先でお金の話は出来ない
・中に入れて頂けるような方の大半は会話に飢えている
・平日日中に会える人の大半は家庭の資金に決定権を持っていない
・これらの条件を潜り抜けて取引がスタートしても取引金額が大きくない
・大半は高齢者か専業主婦、継続取引のニーズはなく連続的な手数料収入は期待できない
・リスクを嫌う人が多く、一度の大きな資産目減りでリタイアする可能性が最も高い
書いていて証券営業と個人宅の相性の悪さを痛感しました。
直に会う難易度が最も高い
想像に難くないかと思います。飛込営業マンが歓迎されるわけないですね。
1日200件訪問して会えた件数はゼロ、なんて日常茶飯事です。
警戒心が非常に高い
会うどころかインターホン会話すら難しいです。
たまにインターホン会話が出来ても警戒心から話はすぐに終わります。
当然ですね。
会えたとしても玄関先や庭先でお金の話は出来ない
これは個人的に証券リテール営業で一二を争う嫌な事でした。
常識で考えれば初対面の人間と家の前でお金の話が出来ない事は当然です。
が、新規飛込営業ならまだしも、既に顧客となって頂いている方の御宅へ訪問しインターホンで挨拶する時にも会社名を名乗れないんですね。
これはご近所から「あの家、証券会社の人間が出入りしている」と言われてしまうからです。
インターホンでぼそぼそと周囲に気を使って、社名を出さずに証券会社の者である事を伝える。
「大学出て真っ当に就職活動して正社員になれたのに何でこんな仕打ちを受けなければならないんだろうか」と何度も考えました。
個人宅に営業に行かないという選択を取ることで解決する程度の悩みでしたが。笑
中に入れて頂けるような方の大半は会話に飢えている
奇特にも中に入れて下さる方もいらっしゃいます。しかし大半は証券会社を利用して資産運用をするというニーズ、潜在ニーズはありません。
ひたすら雑談です。
最初のうちは上司も「最初は雑談を重ねるんだも。それでいい」と言います。
しかし何度行っても雑談から発展する気配はなく、痺れを切らした(あるいは新人の進捗を管理を問われて)上司がある日突然「いつまで雑談しているんだ。今日必ずあの先で新規口座開設してこい」と言ってきます。
上司の指示を受けて訪問し、雑談とは違う真剣な取引の話をして気付きます。
「ああ、この人は会話に飢えていただけなんだな」と。
この状況から口座開設に持ち込む事は可能ですが、やはり本腰の入った本気の資金を導入する事は無理でした。トップセールスの方なら出来るのでしょうか。
平日日中に会える人の大半は家庭の資金に決定権を持っていない
それはそうでしょうね。という事です。
「お金の事は主人(妻)に相談しないと」と言われてそのまま帰って上司に報告し、よく怒られました。
が、今冷静に考えても「自分一人では決定できない」を言われてしまうとダメでしょう。
そもそも顧客が真剣に検討しているなら、2人以上が揃って話を聞いて下さるタイミング(多いのは土日)で改めて訪問のアポイントを頂けます。
大多数は改めての訪問アポイントは取れません。要は断り文句です。
1年目の頃、同期が持っていた営業のハウツー本に
「お金の決定は一人で出来ないと言われた時には『奥様(ご主人様)、女(男)たるものご家庭の大蔵省でないといけませんよ』と返しましょう」
と書かれていました。
どうなんでしょうね。少なくとも私は相手を否定するニュアンスを含んだ返しをしたことがないので効果の程は分かりません。
これらの条件を潜り抜けて取引がスタートしても取引金額が大きくない
ここまで書いてきた条件をクリアし、取引がスタートしても法人や商店のお客様と比較して金額が大きくないです。
本当に営業活動が好きな人にとっては関係ないのですが、ノルマを達成する、という点に重きを置いている人にとっては重要です。
大半は高齢者か専業主婦、継続取引のニーズはなく連続的な手数料収入は期待できない
金額の問題に加えて、継続取引の頻度も傾向としては少なくなります。
高齢者・専業主婦がどうというよりかは「潤沢なキャッシュフローがない方」という表現が適切です。
人間、どうしてもストックではなくフローがないと不安を感じます。
高度経済成長期はその逆ですね。今貧乏でも(ストックがなくても)明日以降が明るい(フローが発生しそう)と、人間気持ちが上向きます。
気持ちが上向いていない方が資産運用に積極的になれるはずもありません。
したがって私の経験上、継続取引は難しいことが多かったです。
リスクを嫌う人が多く、一度の大きな資産目減りでリタイアする可能性が最も高い
損をするリスクが好きな人はいらっしゃらないのですが、この場合、目減りしてしまった後どのように行動するかという意味で記載しています。
今まで書いてきた法人や商店の方の場合、「くそ、次は取り戻す」という考え方になるケースが多いです。
一方で、キャッシュフローが少ない個人宅の場合は「命の次に大事なお金、もうこれ以上の失敗は絶対に許されない。だから何もしない」という考え方になる事が多いです。
何が正しいかという回答は各人の状況によって異なります。
金融営業との相性がよろしくないという点は事実です。
個人宅のメリット
メリット
・新人が訪問しても不自然さがなく、件数が多いため営業の練習になる
考えてみたのですが、他の対象先になく個人宅だけが持つメリットとしてはこれしかなかったです。
練習というと、訪問される側のご家庭に対して申し訳ないのですが事実です。
私自身最初の1ヵ月程度はたくさん訪問させて頂きました。
しかし年々住宅街の飛込訪問もなくなっているようなのでこのメリットはもはやないに等しいでしょう。
まとめ:飛込営業で行く対象先ではない
個人宅への訪問はコンプライアンスの時代に沿っておらず、万が一取引が成立しても、営業マンのノルマを解決してくれる金額に達する事は少ない
時間をかけて営業する意味はないです。
野村證券時代、個人宅をくまなく訪問しろというタイプの営業マンは何人かいました。
が、例外なくコンプライアンスが緩い時代に成果を出せたタイプであり令和の今、現役で新規飛込営業をしていない営業マンでした。状況が違いすぎるので指示を聞く必要はないです。
同じように指示されている新入社員は大変ですね。頑張って聞き流してください!
それでは次回の記事でお会いしましょう。